障害があるだけではダメ?ロミオとジュリエット効果
こんにちは、Rです。
今回は恋愛で使える心理学、「ロミオとジュリエット効果」についてご紹介します。
「聞いたことがある」「なんとなく知っている、分かる」という人も多いかと思いますが、詳しく説明できる人はごく稀です。
誰かに説明したり、自分で実際に行動を起こせるぐらいになって帰っていって下さい。
この記事の信頼性
- ロミオとジュリエット効果とは?
- ロミオとジュリエット効果の詳しい概要
- 実際の体験談
この記事の信頼性
この記事は心理学を専攻する大学生に執筆して頂きました。
心理学部卒の管理人も監修しています。
ロミオとジュリエット効果とは?
ロミオとジュリエット効果(Romeo and Juliet effect)とは、ある目的を達成したい場合、障害があった方がその障害を乗り越えようとするため、目的を達成しようとする気持ちが高まる心理現象のことです。
ロミオとジュリエット効果についての詳しい内容
例えば、恋人たちが親からの交際反対や遠距離など、周囲の障害があることで、かえって「好きだから一緒になりたい」と気持ちが高まることが恋愛におけるロミオとジュリエット効果です。
主に、恋愛において見られる現象ですが、ビジネスにおいても見られることがあります。
この名称は、劇作家ウィリアム・シェイクスピアによる戯曲「ロミオとジュリエット」から名付けられました。
「ロミオとジュリエット」のあらすじを簡単に紹介します。
ロミオとジュリエットは敵対する家に生まれますが、お互いに一目惚れし、恋人同士となります。
二人は両家の長年の争いという障害を乗り越えようとしますが、すれ違いから二人は死んでしまうという恋愛悲劇です。
ロミオとジュリエット効果はアメリカの心理学者であるドリスコールの実験によって明らかにされました。
実験の内容は以下の通りです。
デート中のカップルと結婚したカップル140組に調査を行いました。
調査は2回繰り返されました。
この研究では、カップルの親が、二人の恋愛や結婚にどのような態度をとっているかをおもな研究課題としていました。
そこで「親が交際を妨害している」とか「二人の関係を傷つけている」などの回答を得点にまとめて妨害度とし、熱愛度との関係を分析しました。
(セレクション社会心理学—12恋ごころの科学(1993)松井豊 サイエンス社)
熱愛度(ロマンティック・ラブ)とは愛、配慮、相手の必要性、関係の重要性などの項目から構成された愛尺度の得点から、信頼する、頼っているなどの項目から構成された信頼尺度の得点を引いた値です。
つまり、熱愛度=愛尺度の得点-信頼尺度の得点ということです。
ドリスコールらは、信頼していなくても強い愛を向けていることが熱愛状態だと考えたわけです。
(セレクション社会心理学—12恋ごころの科学(1993)松井豊 サイエンス社)
分析結果により親からの妨害度が強いほど、熱愛度が高まることが明らかになりました。
親からの交際妨害など周囲の妨害があると、恋人たちは交際をやめるどころか、かえって熱愛の度合を増してしまうわけです。
ドリスコールはこうした現象をユーモアを交えて、「ロミオとジュリエット効果」と命名しました。
しかし、近年の研究からロミオとジュリエット効果は一部根拠がないことが明らかになっています。
ドリスコールの実験を再現し、それに加えて家族や友人からの承認についても調査を行った実験がありました。
実験内容は以下の通りです。
ネットで調査対象者の基準を満たした396人に、ドリスコールらに実験で使われた質問項目との干渉について評価してもらいました。
また、自分の友達や両親、パートナーの両親や友人からの承認についても評価してもらいました。
その結果、親の干渉が増加しても、熱愛度の増加とは関係ないことが明らかになりました。
しかし、両親や特に友人などの周囲からの承認は二人の関係をより良くすることが明らかになりました。
(参考文献:Social Psychology(2014),45,pp170-178 https://econtent.hogrefe.com/doi/full/10.1027/1864-9335/a000181 )
ロミオとジュリエットの場合も、二人は家族からの干渉ではなく、修道士や乳母からの承認により二人の熱愛度が高まった可能性もあることが論文に記載されていました。
恋人同士である2人の関係を周囲が反対することで、熱愛度が高まるかもしれませんが、長く良い関係を続ける場合、周囲から認められ応援される方が良いということです。
心理学者である植木理恵さんは障害があることで熱愛度が高まるロミオとジュリエット効果が生じる心理的メカニズムを次のように考えています。
「禁止」といわれることは、興味や関心を掻き立てられるだけではなく、禁止されたものを魅力的に見せ、価値までを高めてしまうことがわかる。
植木さんは人間にこの性質が備わっている理由を「自己効力感(self-efficacy)」という本能の現れだと考えています。
人間にとって自己効力感を保つことが人間らしく生きることであり、
だから、他人から「これはダメ!」と禁止されるということは、その人間らしさを激しく脅かされる緊急事態となる。
一種のストレスを感じることになるのだ。
そんな状況下では、「なんとか失われた自己効力感を回復したい、自分で選択したい!」という衝動に近い欲求が湧き起こるのは、しごく当然のことかもしれない。
その結果、ムキになって「いや、私はこれがしたい」「これが好きだ」と、自己主張したくなってしまうのだ。
(フシギなくらい見えてくる!本当にわかる心理学」(2010)植木理恵 日本実業出版社)
と植木さんは考えています。
自分で自分のことを決めたいという気持ちから周囲からの反対に聞く耳をもたず、自己主張が強くなってしまう経験が誰にでもあるのではないでしょうか。
ロミオとジュリエット効果では、そのような心理メカニズムが働いているようです。
実際にあった体験
これは私が大学受験の予備校でできた友人のお話です。
私は高校を卒業後、大学受験をもう一度するために予備校に通っていました。
朝から夜まで、予備校で授業と自習をしている生活でした。
以前からの友人と共に勉強をしていましたが、予備校でも友人ができました。
友人と私は授業の合間の休憩などでたまに話をするぐらいの中でしたが、いろんな話をしました。
その友人は予備校で知り合った人と付き合っているようでした。
二人は授業以外の時間はほとんど一緒におり、自習も隣に座ってしていました。
大学受験という二人の共通の壁があることで、二人の熱愛度が高まっていたのかもしれません。
二人でいる様子は楽しそうで、微笑ましく思いました。
また、当時を思い返してみると、私の予備校では他にも何組か付き合っている人がいたような気がします。
正直、一緒に頑張れる恋人がいてうらやましく感じていました。
受験勉強のために予備校に来ているので、息抜き程度であれば良いかもしれませんが、気分的に遊ぶことが禁止されているように感じていたでしょう。
禁止されているというストレスがかかる状況下で、植木さんの著書であった「自分で選択したい」、「これが好き」という自己主張の結果、人を好きになり、付き合っていたのかもしれません。
そうだったとしても、共に頑張れる相手を見つけられたことは素敵なことですよね。
ロミオとジュリエットのように障害が両親の反対ではなく、受験が恋人同士の壁になったお話でした。
受験勉強に限らず、学校のテスト勉強などで同じような体験をした人もいるのではないでしょうか。
管理人も浪人時代に彼女ができたので、同じ境遇の方は結構いらっしゃるのかもしれませんね。
まとめ
ロミオとジュリエットは最後に結ばれることはありませんでしたが、お互いに強く愛し合っていたことでしょう。
今、あなたには永遠に共にしたいお相手はいますか。
その人との交際を周囲の方々から認めてもらうことが、永遠に共にいる一歩に繋がるかもしれません。
まだ交際をしていないけれど、一緒にいたい人がいる。そんな方には、二人の共通の乗り越えなければならない障害や壁を作ってみてはどうでしょうか。
参考文献・引用文献
セレクション社会心理学—12恋ごころの科学(1993)松井豊 サイエンス社
「フシギなくらい見えてくる!本当にわかる心理学」(2010)植木理恵 日本実業出版社
Social Psychology(2014),45,pp170-178
最後に
以上、「ロミオとジュリエット効果」でした。
いかがでしたでしょうか。
また他の記事でお会いしましょう!
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