ゲシュタルト療法とは?
こんにちは、管理人Rです。
今回は、「ゲシュタルト療法」についての記事です。
ひとえに心理療法と言っても、様々な療法があり、カウンセリングの方法も変わってきます。
そんな中今回取り上げるのは「ゲシュタルト療法」です。
「ゲシュタルト療法」の「ゲシュタルト」って何?という方にも分かりやすく解説しています。
この記事を読むとわかること
- ゲシュタルト療法とは?
- ゲシュタルト心理学って?
- どんな技法があるの?
この記事の信頼性
今回この記事を書いてくださったのは、T.Hさんです。
T.Hさんは、17年間看護師としておもに病院で働き、現在は「交流分析」と「ゲシュタルト療法」を中心にオンラインで心理カウンセラーをされています。
心理学専攻卒の管理人も監修しています。
それでは早速見ていきましょう!
1.ゲシュタルト療法とは?
ゲシュタルト療法とは、フレデリック・S・パールズ博士と妻のローラよって作られた心理療法です。
ゲシュタルトとは「全体性」などを意味するドイツ語です。
「ゲシュタルト崩壊」という言葉が有名です。
ずっと同じ文字を見てると「こんな字だっけ?」と変な感じしてきますよね、あれです
2.そもそもゲシュタルト心理学とは?
ゲシュタルト心理学とは、人間が世界をどのように感じるかを研究した心理学です。
人間は世界を「ゲシュタルト=(全体性)」として知覚します。
人が何かを見るとき、部分部分(人であれば、髪型、表情、服装など)ではなく、全体としてとらえるということです。
髪型だけ、服装だけでは誰なのかわかりません。
また、人間は自分の外にある世界をバラバラな寄せ集めとして認識するのではなく、意味のある一つのまとまった全体像として構成するとしています。
雰囲気イケメンはゲシュタルトイケメンということですね
自分を作っている世界
人は、同じ景色をみても人によって認識の仕方が違います。
「色眼鏡」という言葉をイメージすればわかるのではないでそうか。
人は一つのもの(図)に注目したとき、ほかの部分は背景(地)になります。
私たちは、さまざまな情報がある世界から自分に必要なものをピックアップしています。
ピックアップしているものが「図」であり、それ以外のものは「地」に押しやられてしまいます。
これを例えるときによく使われるのが「ルビンの盃」です↓
(一部に注目するとほかの部分が認識できなくなります。)
人の横顔に見えるか、盃に見えるか。
同じ景色をみても、人によって覚えているものは異なりますよね。
これは、その人その人でピックアップした情報が違うからです。
また、自分がいつもなにかのトラブルに巻き込まれるとします。
それは、そうなる世界を作るように自分が情報や物をピックアップしているからです。
ネガティブな情報ばかりを受け取る人はネガティブになるし、ポジティブな人はポジティブな出来事をキャッチしやすいということでしょう。
体の感覚を感じる
ゲシュタルト療法では、体の声を聞きます。
たとえば、クライアントがおなかに「もやもやした感覚」があると訴えたとします。
そのとき、セラピストは「もやもやが喋るとしたらなんてしゃべる?」と聞きます。
クライアントには、もやもやになりきってもらい、出てくる言葉を話してもらいます。
出てくる言葉を言っていくことで少しずつ意味が分かり、本当の気持ちが出てきてすっきりする感覚を得ることができます。
ゲシュタルト療法では、今出ている症状や感覚に対して「なぜ?」「原因は何だろう」と考えません。
「いま、ここ」で起きていることに意識を向けて、感覚を感じます。
また、心と体は一つととらえています。
体で起こっている感覚や症状は自分の心の表れなのです。
「いま、ここ」を感じる
人は過去の出来事にとらわれ物思いにふけったり、まだ起こってもない未来を心配したりしています。
私たちは、意識が「今」にいないことが多いです。
ゲシュタルト療法では「今」に意識を向けます。
「いま、ここ」にいることで自分自身について知ることができます。
それも、「思考」ではなく体の「感覚」に意識を向けるのです。
そこで得られるものをゲシュタルト療法では「気づき」と言います。
フォーカシングやフェルトセンスという言葉でも出てきますので、気になる方は調べてみてください!
気づきについて
ゲシュタルト療法では「気づき」が基本的なアプローチです。
気づきには、
- 「内部領域の気づき」
- 「外部領域の気づき」
- 「中間領域の気づき」
という3つの領域があります。
• 内部領域の気づき
内部領域とは、「からだの気づき」のことです。
「痛い」とか「のどが渇く」など体の気づきです。
「気持ち」「感情」なども内部領域です。
ゲシュタルト療法では体と心は一つだからです。
また、動作や姿勢なども含まれます。
• 外部領域の気づき
外部領域とは、人間の皮膚という境界線の外で起きている世界のことです。
私たちが生きていくためには外部領域つまり外の世界(環境)に働きかけなければなりません。
おなかがすいたら食べ物を探さなければなりません。
人は内部領域の欲求を満たすには五感(視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚)を使って外部領域に働きかけて欲求を満たしていきます。
• 中間領域の気づき
中間領域とは、「思考」のことです。
私たちは、考え、分析する、予測する、知識に頼る・・など頭の引き出しはいつもいっぱいで、常にフル回転。
ゲシュタルト療法では「頭を使う」ことに問題があるとしています。
知識を増やすほど自分を失ってしまう傾向があるといわれています。
「良い母親であれ」「男は泣くな」「人生には出世が大事」「学歴は高いほどいい」など・・・。
これらは誰の価値観なのでしょうか。
生まれたばかりの赤ちゃんはこんな価値観持ってないですよね。
人は、こういった「後付けの価値観」に左右されるのです。
また、中間領域のことを「想像の領域」とも表現されます。
要するに「妄想」。
現実で起こっていることをきちんと確かめず、現実に起こっているかのように想像し、想像の世界に引きこもるのです。
そうすると、外の世界に働きかけることができなくなります。
3つの領域の気づきに意識が向くようになると、「いま、ここ」の自分が何を自覚しているか、何が起きているかに気づくようになります。
3.ゲシュタルト療法の代表的な技法
ゲシュタルト療法の代表的な技法を1つご紹介します。
エンプティチェア
ゲシュタルト療法の代表的な技法のひとつに「エンプティチェア」というものがあります。
エンプティチェアとは、「空の椅子」。
クライアントが対話したい人やものを架空の椅子に座らせて対話をします。
クライアントは座らせた人やものに向かって言いたいことを言います。
その後、相手の椅子に座って言われたことを聞き、出てきた言葉を言います。
このように対話をすることでクライアントは本当に気持ちや意味が分かり「気づき」が得られます。
ゲシュタルト療法の注意点
ゲシュタルト療法は、頭で解釈しようとすると難しい感じがします。
ゲシュタルト療法自体が「思考」を使わず「感覚」を感じることに意識を向ける療法です。
とにかく、体で体感するのが理解するには一番近道です。
頭で分かったつもりになっていると、正確な理解からは遠のいていきますよね
4.筆者の体験や経験
私は、初めてエンプティチェアを受けたとき、「なぜ、こんなことができるのか」と驚きました。
ゲシュタルト療法では「なぜ」は必要ないですね。
私は、職場の先輩との関係にストレスを感じていて、そのことでセラピーを受けました。
その先輩は、私をいつも手伝ってくれていたのですが、それが私はうっとうしく感じていました。
実際に先輩の椅子を作りました。
そして先輩が座っていると仮定し、言いたいことを言っていきました。
「なんで、いつも私のこと手伝うのですか。私のこと、そんなにできない人だと思っているのですか!」と怒りながら言いました。
言い終わったあと、私は先輩の椅子に座りました。
すると、言葉が沸き上がってきました。
「私は、あなたのことを心配しているんだよ。」と。
私の席に戻ってその言葉を聞いた私は、涙が出ました。
先輩の言葉がうれしかったのです。
私は、「仕事ができない」と思われ否定されていたと思っていたのですが、実際は違いました。
私を否定していたのは先輩ではなく自分自身。
自分が自分を否定していることを認めたくなくて、先輩が私を否定していることにしていたのでした。
普段言えないことを相手がいると見立てていうだけでもスッキリします。
それ以上に、自分がどうしているのかを気づくことができました。
5. ゲシュタルト療法を受けた感想
ゲシュタルト療法は、体感してこそわかるセラピーです。
私が心理療法の知識が何もない状態でカウンセリングを受けに行ったら、そこはゲシュタルト療法を行うところでした。
「なんかよくわからんけど、すっきりした。」という不思議な気持ちになりました。
この言葉は正しいかどうかはわかりませんが「だまされたと思ってセラピーを受けてください。」と言いたいです。
ゲシュタルト療法に関する参考文献
「気づきのセラピー はじめてのゲシュタルト療法」 百武正嗣
「ゲシュタルト療法 その理論と実際」 F・Sパールズ著 倉戸ヨシヤ監訳 日高正宏・井上文彦・倉戸由紀子訳
6.まとめ
以上、「ゲシュタルト療法とは?」でした!
まとめ
- ゲシュタルトとは、全体性
- ゲシュタルト療法は、「いまここ」に意識を向ける
- エンプティチェアをやってみよう!
最後までお読みいただきありがとうございます。
また別の記事でお会いしましょう!